昨日、家に帰って買い物袋をテーブルに置いて、何気なく牛肉のパックを見た瞬間、私は本気でフリーズした。
100gあたり182円。内容量220g。なのに799円。
え、待って。
どう計算しても合わなくない?
最初は「私が疲れてるだけかな」と思って、電卓を出した。
でも何回やってもおかしい。
182円×2.2でしょ?
どうしたって799円にはならない。
その瞬間、頭の中で何かがプツンと切れた。
「これ、普通におかしくない? ていうか、ほぼ詐欺じゃん」
私はすぐにパックの写真を撮って、ラベルを拡大して、スクショまで撮って、万が一のために証拠を残し始めた。
自分でもちょっとやりすぎかなと思ったけど、そのときは完全に「私は今、不当なことに気づいてしまった側の人間」だった。
すると横でその様子を見ていた彼が、
「まあまあ、たぶん何か理由あるんじゃない?」
って軽く言った。
その一言で、さらに火がついた。
「いやいや、理由あるにしてもおかしいでしょ」
「でも店に行って騒ぐほどじゃなくない?」
「騒ぐって何? こっちはちゃんと確認したいだけなんだけど」
「だから、そんなすぐ敵認定しなくても…」
「そうやってすぐ“まあいいじゃん”って流すの、本当に嫌なんだけど」
完全にスイッチが入った私は、牛肉の値段の話をしているはずなのに、途中から彼の“事なかれ主義”そのものに腹が立ってきてしまっていた。
私は「泣き寝入りする人が多いから、こういうのってそのままになるんだよ」とまで言い、
彼は彼で「思い込みで突っ走るのは違う」と譲らない。
たかが牛肉、されど牛肉。
その夜は妙な空気のまま終わった。
でも私は納得できなかった。
というか、ここまで来たらもう引けなかった。
次の日、私はその牛肉のパックを持って、スーパーに行った。
サービスカウンターで事情を説明して、
「この表示、どう見ても計算が合わないんですが」
とかなり真面目に伝えた。
最初に対応してくれた店員さんは、すごく落ち着いた感じで
「少々お待ちください」
と言ってくれたけど、正直その時の私は、
“こうやって曖昧にごまかすつもりなんでしょ”
くらいに思っていた。
今思えば、だいぶ感じ悪かったと思う。
少しして、精肉コーナーのベテランっぽい男性スタッフさんが来て、ラベルを見ながら丁寧に説明してくれた。
そこではじめてわかった。
表示されていたのは、
100gあたりの単価と、
税込価格863円、
そしてそこからの特売価格799円で、
私が勝手に「182円×2.2=そのまま販売価格」と思い込んでいただけだった。
つまり、単純に左の数字だけ掛ければいい話じゃなかった。
その説明を聞いた瞬間、
顔から火が出るってこういうことなんだな、って思った。
「あ……そういうことですか……」
さっきまでの勢いが一気に消えて、自分でもわかるくらいしどろもどろになった。
本当ならそのまま「すみませんでした」って言って静かに帰りたかった。
でも、その空気を変えたのが、たまたま近くで聞いていた一人のおばさんだった。
その人が急に口を挟んで、
「でも、これって勘違いする人いてもおかしくないわよ。表示、わかりにくいもの」
って言った。
私は一瞬、え?と思った。
するとその場にいた別の人も
「たしかにパッと見だとそう思うかも」
とぽつっと言って、
空気が少し変わった。
私は完全に“恥ずかしい勘違いをした人”で終わると思っていたのに、
まさかの方向から援護が入った。
店長さんまで出てきて、改めてラベルを確認したあと、
「価格自体に誤りはありませんが、たしかにお客様に誤解を与えやすい表示かもしれません」
と頭を下げてくれた。
その上で、
「今後、売り場の表示方法については社内でも見直します」
と言ってくれて、
最後にお詫びとして値引きクーポンまで渡してくれた。
その瞬間、私はようやく呼吸ができるような気がした。
もちろん、計算を勘違いしていたのは私。
そこは本当に反省してる。
でも一方で、
“おかしいと思ったことを口にした”こと自体は、別に間違ってなかったんだな
とも思えた。
何も言わなかったら、
「わかりにくいけどまあいいか」で終わってたかもしれないし、
実際、私みたいに一瞬混乱する人は他にもいたのかもしれない。
帰り道、牛肉のパックを持ちながら、ちょっと変な気分だった。
恥ずかしさもある。
でも、それ以上に妙な達成感があった。
家に帰ったら彼に全部話そうと思ってる。
たぶん絶対、
「だから最初に言ったじゃん」
って言われる。
でもそのときは私も言い返すつもり。
**「いや、最終的に店長が謝ってクーポンくれたから、完全敗北ではない」**って。
たかが799円の牛肉。
でも、危うくスーパーを訴える勢いまでいったこの一件、
たぶんしばらく忘れないと思う。
そして今後、私は肉のラベルを見るたびに、
誰よりも真剣な顔で計算する人になる。
引用元:https://x.com/kakeloppi/status/2035975944322887705,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]