私は由美、28歳のOL。ある日、引っ越しをすることになった友人の梨花から、車を貸してほしいと頼まれた。梨花は引っ越しの荷物を運ぶために車が必要だというので、私は快く了承した。普段から仲が良く、何かとお互いに助け合っていたから、少しの手間くらいは何とも思わなかった。
しかし、車を貸すということには、少しだけ気になる点があった。私の車はガソリンをこまめに入れるようにしていたし、普段から無駄に使わないように心がけていた。そのため、車を貸す前に「ガソリンはちゃんと入れて返してね」と軽く伝えておいた。梨花もその時は「もちろん!」と元気よく返事をしていた。
そして、引っ越しが終わり、梨花が車を返してくれた。しかし、車を受け取ったときに気づいたのだ。ガソリンのメーターがほぼ「空」の状態だった。私は一瞬、言葉を失った。まさかこんなことになるとは思わなかったからだ。少しでも気を使ってガソリンを補充して返してくれるだろうと思っていたのだが、その期待は裏切られてしまった。
「空で返す?」と心の中でモヤモヤしながら、車を確認した。ガソリンスタンドに行かなくてはならないのはもちろん、ちょっとした不快感もあった。それでも、私は梨花のことを責めることなく、「まぁ、仕方ないか」と自分に言い聞かせ、ガソリンを入れに行くことにした。
そして、数日が過ぎた。私はこの件をすっかり忘れかけていたが、ある日、また梨花から連絡が来た。
「今度、また車を貸してほしいんだけど…」という内容だった。正直、心の中では「また?」と少し驚いたが、同時に「もう一度貸してあげるか」という思いもあった。
だが、前回の件が引っかかっていた。ガソリンが空で返されてしまったことが、どうしても心の中でモヤモヤしていたのだ。「また貸して」と言われて素直に返事をする前に、私は少し考えた。
梨花がまた同じことをしない保証はないし、私もあまりにもガソリンを入れた分を無駄にされるのは嫌だった。そこで、少しだけ踏み込んでみることにした。
「もちろん、貸してあげるよ。でも、今回はガソリンをしっかり入れてから返してね。前回はちょっと気になったから。」と、優しく言った。
梨花はその言葉に少し驚いた様子だったが、すぐに「わかりました!」と返事をしてきた。私はその返事を聞いて、少しほっとした。やはり、ちょっとした気配りを求めるのは当然だと思ったからだ。
そして、その日から梨花が車を返してくれるとき、しっかりとガソリンが満タンに入っていた。前回のように空の状態で返されることはなく、私は心の中で少しだけ満足した。
その後、梨花と車を貸し借りすることは続いたが、ガソリンのこともお互いに気を使い合うようになった。
私も彼女に貸すときはガソリンを確認してから渡すようにしていたし、梨花も返すときにはきちんと補充してくれるようになった。
結局、あのモヤモヤした気持ちはお互いに少しだけ気を使うことで解決した。友情も大切だが、やはり自分の気持ちも大切にすることを学んだ出来事だった。お互いに少しの気配りを持つことで、もっと良い関係が築けるのだと思うようになった。